ロールスロイスが2022年に世界へ送り出した電動グランドツアラー「スペクター」が、約4年の歳月を経て「シリーズII」へと進化した。外観の変化は極めて抑制的でありながら、インテリアとパワートレインには思い切った刷新が施されている。特筆すべきはダッシュボードに埋め込まれた8,108個の微細な光による「イルミネーテッド・ファシア」と、最大628km(WLTPサイクル)に達する航続距離の向上だ。超高級EVの頂点に立つスペクターがどのように生まれ変わったのか、発表内容をもとに詳しく見ていこう。
この記事のポイント
- ダッシュボードに8,108個の光で描く新デザイン「イルミネーテッド・ファシア」を採用
- バッテリー容量112.4kWhで航続距離は最大628km(WLTP)、急速充電10〜80%は最短28分
- 標準モデルは593馬力、ブラックバッジは671馬力に強化され0-96km/h加速は4.1秒
控えめな外観変更の意図
海外メディアCarscoopsの報道によると、シリーズIIの外観変更は非常に限定的だ。新色「エーテリアル・ブルー」と23インチ鍛造アルミホイール(パーシャルポリッシュまたはフルポリッシュ仕上げ)が追加された程度で、ボディラインやシルエットは先代から引き継がれている。
ロールスロイスのモデル戦略として、外形デザインに手を加えない「内からの進化」を重視する姿勢はこれまでのモデルでも見られてきた。スペクターのように発売から4年という短いスパンでの改良では、ブランドの品格を保つためにもデザインの連続性を守ることが優先されたとみられる。
より個性的な演出を求めるオーナー向けには、「ブラックバッジ」グレードが用意される。こちらはクロームパーツをマット仕上げに置き換えた「アイスド・ブラック・エクステリア・ディテーリング」を採用し、専用ホイールと相まって「より威圧的な存在感」を演出するとメーカーは説明している。シルバーとブラックという対極の美学を一ブランド内に共存させるのは、ロールスロイスならではの技だ。

8,108の光が生む新次元のコクピット
シリーズIIで最も大きな変化はインテリアにある。新設計のワイドスクリーンディスプレイを備えたダッシュボードへと刷新され、最大の見どころは「イルミネーテッド・ファシア アートワーク」だ。方向性のあるウェーブパターンが8,108個のピクセル状発光体で構成されており、まるで光が流れるように見える仕掛けになっている。
新設されたクロックは航空計器から着想を得たデザインで、コクピット感覚を強調する演出となっている。超高級車における時計は単なる機能部品を超えた「格」の象徴であり、航空機器からのオマージュはロールスロイスが長年大切にしてきた「旅するための乗り物」という哲学と合致する。
素材面でも注目すべき新オプションが登場した。「デュアリティ・ツイル」と呼ばれる竹由来のレーヨン生地は、ヨットの索具をモチーフにした刺繍が施されており、ブラック・チョコレート・ライラック・セージの4色展開で刺繍カラーの組み合わせは50種以上に及ぶ。公式発表によれば、一台の仕上げに最大260万針・約16kmの糸・25時間以上の作業が必要とされる。さらに78,138個の穿孔で「月明かりの雲」を描く「プレイスド・パーフォレーション・レザー」や、ガラスパウダーを練り込んだ輝く「ブリンドルド・ウォルナット」ベニヤも新たに加わり、内装の個性化余地はこれまで以上に広がっている。

パワートレインと航続距離の大幅進化
走行性能と電動システムもシリーズIIで大きく向上した。デュアルモーター・フルタイムAWDは出力593馬力(442kW)・トルク1,015Nmへと強化され、先代の577馬力・900Nmから着実にステップアップしている。0-96km/h加速は4.4秒と公式発表されており、超高級クーペとして十分な動力性能を備える。
さらに注目すべきはバッテリーの進化だ。「再設計されたバッテリーセル技術」を採用したことで容量は112.4kWhへと拡大し、航続距離は最大18%向上してWLTPサイクルで628kmを達成した。急速充電においても最大195kWのDC充電に対応し、残量10%から80%までわずか28分で充電できるとされており、充電時間の不安を従来比14%削減している。
よりスポーティな走りを求めるオーナーには「ブラックバッジ」グレードが671馬力(500kW)・1,100Nmのトルクを提供し、0-96km/h加速は4.1秒に短縮される。同じプラットフォームで標準モデルとパフォーマンスモデルの二軸展開を行うのは、多様な顧客層の嗜好に応えるロールスロイス流のアプローチと言える。

Roadly編集部コメント
スペクター シリーズIIが示すのは、超高級EVにおける「進化の作法」だ。外観をほぼ変えずに内側を徹底的に磨き上げるという手法は、ブランドの連続性を重んじるロールスロイスらしい選択と言える。8,108個の光で構成されたダッシュボードは、単なるイルミネーション演出を超えた「職人技とテクノロジーの融合」であり、競合する超高級EVが数字のスペック競争に傾く中で、体験価値という異なる軸で差別化を図っている点は興味深い。航続距離628km・急速充電28分という数値は、長距離ドライブを好む富裕層オーナーの実用ニーズにも十分応えるレベルに達したと評価できる。日本市場への導入時期や価格設定が今後の焦点になるだろう。
ロールスロイス スペクター シリーズIIは、技術とクラフトマンシップの両面で超高級EVの新たな基準を提示した。日本への正式導入スケジュールや価格など続報が待たれる。Roadlyでも引き続き最新情報をお届けしていく。
情報源・出典
- 媒体:Carscoops(INTL)
- 元記事タイトル:The New Rolls-Royce Spectre II Hides 8,108 Tiny Lights In Its Dashboard | Carscoops
- 元記事URL:https://www.carscoops.com/2026/06/rolls-royce-spectre-series-ii/
本記事は上記の海外メディア記事を情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。元記事の文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細な原文は上記リンクよりご確認ください。
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