日産自動車は2026年6月17日、コンパクトSUV「キックス」の新型モデルを正式発表し、翌18日より全国で発売を開始した。初代から好評を得てきた「e-POWER」を日本市場初となる第3世代へと刷新し、さらにモデル初搭載となる電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を加えることで、走行性能・燃費・悪路対応力のすべてをレベルアップ。デザインから安全装備まで全面的に生まれ変わった新型キックスは、日常の通勤からアクティブなレジャーまで幅広く活躍できる一台として、コンパクトSUV市場に強烈な存在感を放っている。
この記事のポイント
- 日本市場初の第3世代「e-POWER」を搭載。5-in-1電動ユニットにより小型・軽量化と燃費性能の向上を同時に達成
- モデル初採用の「e-4ORCE」で4WD走行が可能に。SNOWモード搭載で雪道や悪路への対応力が大幅向上
- プロパイロット全車標準装備に加え、インビジブルフードビューや交差点での歩行者検知など先進安全機能を大幅強化
第3世代e-POWERの実力
新型キックス最大の注目ポイントが、パワートレインの全面刷新だ。日産の公式発表によれば、今回搭載されるのはモーター・発電機・インバーター・減速機・増速機の5つの主要構成部品を一体化した「5-in-1」電動ユニットを採用する第3世代「e-POWER」で、これを日本市場のモデルへ投入するのはキックスが初となる。
組み合わせる発電専用エンジンは1.4L(HR14DDe)で、このエンジンはあくまで発電に特化しており、タイヤを直接駆動するのはモーターのみ。EV感覚の滑らかで力強い加速はそのままに、ユニットの小型・軽量化と高剛性化によって燃費性能と静粛性がさらに高まっている。
競合のトヨタ・ヤリスクロスやホンダ・ヴェゼルがHEV(シリーズ・パラレル式)を採用するのに対し、日産がシリーズ式にこだわり続けるのは、完全モーター駆動ならではのリニアな踏み応えを重視しているからに他ならない。街乗りで際立つ「アクセルを踏んだ瞬間の気持ちよさ」は、新世代ユニットでさらに磨きがかかったといえる。

初搭載e-4ORCEで走破性が向上
今回のモデルチェンジで初めて設定されたのが、4WDグレードに搭載される「e-4ORCE」だ。前後のモーターとブレーキを統合制御することで、コーナリング時の安定感と乗り心地を両立させる電動駆動4輪制御技術で、すでにアリア・エクストレイルへの搭載で高評価を得ている日産の得意技術でもある。
公式発表では、高剛性ボディと新設計サスペンションとの組み合わせにより、コーナリング時の踏ん張りと路面段差での快適性を高いレベルで両立させたとしている。さらにe-4ORCE搭載グレード限定でSNOWモードをドライブモードに追加。雪道や凍結路での安心感が格段に増しており、スキーや登山など冬のアクティビティを楽しむドライバーにとっても現実的な選択肢となった。
4WD(e-4ORCE)グレードの価格は3,349,500円(Xシンプルパッケージ)から。2WDと比べて約35万円のプレミアムで、四季を通じて多様な路面に対応できることを考えれば検討に値するコスト差だ。

デザイン刷新と快適インテリア
エクステリアは「アスリートのような存在感」をテーマに大胆にリフレッシュされた。フロントフェイスはアメリカンフットボールのヘルメットからインスピレーションを得たという個性的なデザインで、特徴的なシグニチャーランプと水平基調のワイドグリルが視覚的な迫力を生み出している。リアは車幅いっぱいに広がるテールランプと口の字型のブラックグラフィックで、SUVらしい踏ん張り感を強調した。
Xグレード系のバンパーやサイドシルにはスニーカーのソールを着想源にしたディンプル(ポリゴン)パターンを採用するなど、随所にストリート感のあるデザイン要素が散りばめられているのも面白い。ボディカラーはe-POWERの先進性を表現した「レゾナンスブルー」の2トーンを含む全9色を用意。
インテリアでは合皮とファブリックのソフトマテリアルをパネル各所に採用し、触れるたびに質感の良さを実感できる空間に仕上げた。後席左右にも「ゼログラビティシート」を採用しており、後部座席に乗る同乗者への配慮も行き届いている。12.3インチのデュアルディスプレイとGoogle搭載の「NissanConnect」を組み合わせた統合型インターフェースも(グレード別設定)、使い勝手の向上に大きく貢献するはずだ。

安全装備の大幅アップデート
安全性能の面でも、新型キックスは着実な進化を遂げている。プロパイロットを全車標準装備としたことはまず評価すべき点で、高速道路でのロングドライブにおける疲労軽減に直結する。
新たに搭載されたインテリジェントアラウンドビューモニターは、フロントワイドビュー・インビジブルフードビュー・3Dビューの3機能を追加。ボンネットで見えない直前の路面や、見通しの悪い交差点への進入時の死角を可視化してくれるのは、狭い路地や立体駐車場が多い日本の都市部では特に重宝する機能だ。
後側方の安全支援も強化されており、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援)とBSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)が新規搭載された。車線変更時や駐車場でのバック時に潜む危険を多角的にカバーする構成は、日常使いのコンパクトSUVとして合格点以上の充実ぶりといえる。

ROCK CREEKに注目
発表と同時に先行公開されたのが、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)のオーテックブランドが手がけるアウトドア特化仕様「ROCK CREEK」だ。人気モデルのエクストレイルに続く設定で、新型キックスをベースにブラック基調の外観へ、3スロットシルバーのフロントグリル・専用フロントプロテクター・専用アルミホイールを組み合わせる。「ラバレッド」と名付けられた溶岩イメージのアクセントカラーがポイントで、ワイルドな雰囲気を演出する。
インテリアも同様にブラック基調で、防水シートを標準装備するのがアウトドア志向のドライバーには刺さるポイント。シートやドアトリム、ステアリングなどにラバレッドのアクセントを配し、車内でも統一感のある専用空間を演出している。
正式発表は今夏、発売は今冬を予定。価格はメーカー希望小売価格(予定)として2WD車が約400万円(税込)〜、4WD(e-4ORCE)車が約430万円(税込)〜とアナウンスされており、標準グレードに対して一定のプレミアムが設定される見込みだ。アウトドアテイストの強いコンパクトSUVを探しているなら、ROCK CREEKの正式発表まで待ってみるのも一手だろう。

グレードと価格の全ラインナップ
新型キックスの価格ラインナップは、2WD(e-POWER)と4WD(e-4ORCE)の2系統で合計8グレードを展開する。
2WD系は「Xシンプルパッケージ」2,999,700円を入口に、「X」3,259,300円・「X+」3,549,700円・最上位「G」3,898,400円の4グレード構成。4WD(e-4ORCE)系は「X e-4ORCEシンプルパッケージ」3,349,500円を皮切りに、「X e-4ORCE」3,599,200円・「X+ e-4ORCE」3,889,500円・「G e-4ORCE」4,248,200円となっている(いずれも消費税込み)。
最廉価グレードのXシンプルパッケージでも300万円を切る設定で、コンパクトSUVクラスとして決して安くはないが、全車プロパイロット標準装備を考えれば実質的なコストパフォーマンスは高い。e-4ORCEのSNOWモードやアウトドア性能を重視するなら4WDグレード、普段使い中心で燃費を優先するなら2WDというシンプルな選び方で迷いは少ないはずだ。日産のマーケティング担当・杉本全氏は「電動化技術の価値をより多くのお客さまにお届けする重要なモデル」とコメントしており、e-POWERの普及モデルとしての役割を強く意識した価格設定が感じられる。

グレード構成とメーカー希望小売価格
新型キックスの全国希望小売価格(消費税込み)を整理した。2WDは第3世代e-POWER、4WDはe-4ORCEを搭載し、合計8グレードを展開する。
| 駆動 | グレード | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 2WD e-POWER |
X シンプルパッケージ | 2,999,700円 |
| X | 3,259,300円 | |
| X+ | 3,549,700円 | |
| G | 3,898,400円 | |
| 4WD e-4ORCE |
X e-4ORCE シンプルパッケージ | 3,349,500円 |
| X e-4ORCE | 3,599,200円 | |
| X+ e-4ORCE | 3,889,500円 | |
| G e-4ORCE | 4,248,200円 |
※全国希望小売価格(消費税込み)。発電専用エンジンはHR14DDe(1.4L)。別途、アウトドア仕様「ROCK CREEK」(NMC/オーテック)が今夏正式発表・今冬発売予定(2WD約400万円〜/4WD約430万円〜・予定)。
Roadly編集部コメント
初代キックスはe-POWERのエントリーモデルとして着実にファンを増やしてきたが、新型はe-4ORCEの追加によって「ただのコンパクトSUV」から「電動4WDが選べるコンパクトSUV」へと格が上がった印象だ。同価格帯のライバルであるトヨタ・ヤリスクロスやホンダ・ヴェゼルと比べても、完全モーター駆動の加速感と4WD設定の組み合わせは差別化ポイントとして十分に機能する。アクティブな用途を考えている人にはe-4ORCE搭載グレードを強くすすめたい。また、ROCK CREEKの発売が今冬に控えているため、アウトドア仕様が気になる方はもう少し待って情報収集することをおすすめする。
新型キックスは、e-POWERの進化とe-4ORCEの初搭載によって、コンパクトSUVとしての完成度を大きく高めた意欲作だ。今冬のROCK CREEK登場も含め、続報から目が離せない。
情報源・出典
- 情報源:Nissan 公式(日本)
- プレスリリースタイトル:新型「キックス」を発表
- プレスリリースURL:https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/260617-01-j
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。スペック・価格・発売時期等は変更される場合があります。