2026年9月2日、三菱自動車工業が新型「パジェロ」をフルモデルチェンジし、世界初披露を行った。1982年に誕生した初代から数えて、4代目の発売から約20年ぶりとなるフルモデルチェンジ。同社が掲げる中長期ビジョンの「第一弾」に位置付けられるフラッグシップモデルだ。高剛性のラダーフレームを採用し、最大トルク480N・mの専用開発ディーゼルエンジン、7つのドライブモード、そして現代的な上質感を備えた新世代パジェロは、本格オフローダーとプレステージSUVという二つの顔を持つ。本記事では、三菱自動車の公式発表をもとに、新型パジェロの見どころを余すところなく紐解く。
この記事のポイント
- 4代目から約20年ぶりのフルモデルチェンジ。「Confidence」「Comfort」「Prestige」の三本柱で全面刷新
- 専用開発2.4Lクリーンディーゼル+8速ATで最大トルク480N・m。SS4-IIとS-AWCを組み合わせた本格4WDシステムを継承
- 2026年度はタイ・日本・オーストラリアへ投入開始。その後100カ国以上へ順次展開予定
4代目の発売から約20年。フラッグシップとして再出発
三菱自動車の公式発表によれば、新型パジェロは4代目モデルの発売から「20年を経た時代の変化を見据えて開発された」とされる。初代から4代目までの累計生産台数は329万台を超え、170以上の国と地域で親しまれてきたモデルだけに、開発陣にかかるプレッシャーは並大抵ではないはずだ。
三菱自動車の取締役代表執行役社長兼COO、岸浦恵介氏はリリースにこうコメントを寄せている。「その第一弾となるのが新型『パジェロ』であり、この後に続く『パジェロ』シリーズをはじめ、すべての三菱車を牽引していくフラッグシップモデルです。新型『パジェロ』は、上質に進化した、あらゆるシーンで頼れるプレステージなクロスカントリーSUVです」。
ブランド全体を牽引するという使命を帯びたモデルとして送り出す姿勢は明確だ。国内では90年代のRVブームを牽引した記憶を持つ世代にとっても、また近年の本格SUVブームで改めて悪路走破性に目覚めたドライバーにとっても、このタイミングでのフルモデルチェンジは見逃せない。

デザイン哲学「グランドカリスマ」の正体
公式発表によると、新型パジェロのデザインコンセプトは「グランドカリスマ -泰然自若-」。初代から受け継ぐ水平基調のスクエアなプロポーションをベースに、力強いフェンダーと立体感のあるボディで現代的な塊感を演出している。
フロントフェイスは「日本の剣道に通じる内面の強さ」を表現したと説明されており、ヘッドライトはT字型を採用。フロントグリルは横桟タイプとハニカムタイプの2種が設定される。サイドビューでは、初代パジェロのロールバーから着想を得たCピラーが存在感を放ち、リヤには歴代モデルの背面タイヤを想起させるヘキサゴンモチーフが配される。歴代オーナーなら思わず「わかる」と頷くディテールが随所に散りばめられた設計だ。
カラーリングのテーマカラーは2色。「アーマーカッパーメタリック」は重厚な金属の塊感を彷彿とさせる色調で、「ファントムブルーメタリック」は光の当たり方によってゴールドのハイライトが浮かび上がるソリッド調のグレイッシュブルーだ。どちらも単なる「映え」狙いではなく、パジェロの骨格とキャラクターを言語化した色選びといえる。
インテリアでは、2枚の14.3インチ大型ディスプレイで構成される「モノリスディスプレイ」が目を引く。パジェロ伝統の3連メーターを現代的に昇華させたマルチメーターには高度計や方位計、車体の前後左右の傾き表示まで搭載。インパネやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」に着想を得た縫製技法を施したソフトマテリアルが使われ、上質感の演出を担っている。

本格4WDの実力:SS4-II×S-AWCの全貌
新型パジェロが「クロスカントリーSUV」を名乗る核心は、走行性能にある。公式発表によれば、ラダーフレームは長年のラリー参戦で培った知見をもとに高剛性設計を採用。高張力鋼板の拡大採用と断面積の拡大によって、ねじり剛性と曲げ剛性が大幅に向上している。
4WDシステム「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」は、2H(後輪駆動)/4H(フルタイム4WD)/4HLc(センターデフロック)/4LLc(ローギヤ+センターデフロック)の4モードを任意で選択可能。これに車両運動統合制御システム「S-AWC」が加わり、AYC(アクティブヨーコントロール)・ASTC・ABSを統合制御する。
ドライブモードはNORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCKの7種類。ROCK専用モードを独立して持つあたりに、本格オフローダーとしての矜持が感じられる。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式独立懸架、リヤは新開発の5リンク式リジッド。最低地上高230mm、アプローチアングル30.4度、ランプブレークオーバーアングル22.6度、デパーチャーアングル25.8度(いずれも20インチタイヤ装着車)というスペックは、本格的なオフロードユースを十分に想定した数値だ。
パワートレインは、ワイドレンジのシングルVGターボを採用した専用開発の2.4Lクリーンディーゼルエンジンに、新開発のスポーツモード付き8速オートマチックを組み合わせる。最大トルクは480N・m(一部仕様は470N・m)で、大柄なボディを力強く引っ張る性能が期待できる。なお、現時点でガソリン仕様やPHEV仕様の設定は公式には発表されていない。

車格と快適装備:7名乗車の実用力
ボディサイズは全長4,920mm、全幅1,925mm、全高1,910mm(20インチタイヤ装着車)、ホイールベース2,870mmというスリーサイズ。前後重量配分52:48と、ラダーフレーム車としては良好なバランスが確保されている。
3列7名乗車のパッケージングを採用しており、2列目シートは150mmのロングスライドとタンブル機構を装備。3列目シートは大人が着座しても余裕あるヘッドクリアランスと足元スペースを確保したと公式は説明する。フラッグシップを名乗るだけあって、シートベンチレーションや3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコンも採用される。
静粛性への対応も見逃せない。フロントガラスに加え前後ドアガラスにも遮音ガラスを採用し、ボディ各部にも遮音処理を施している。ラダーフレーム車特有のNVH(騒音・振動・ハーシュネス)への課題に、フラッグシップとして本腰を入れて取り組んだ姿勢が伝わる。
安全装備面では、三菱自動車として初採用のSRSセンターエアバッグを含む8つのエアバッグを搭載。衝突被害軽減ブレーキ「FCM」は歩行者・自転車・自動二輪車の検知に加え交差点アシストにも対応する。そして今回、三菱自動車として初採用となる緊急時車線維持支援機能[ELA]が加わった。前方カメラとレーダーで車線と周辺車両を認識し、車線逸脱の危険を検知すると警報とステアリング制御でサポートするというもの。交差点で左右から近づく車両を検知して知らせる前進時交差車両検知警報システム[FCTA]も併せて搭載する。運転支援では高速道路同一車線運転支援機能「MI-PILOT」を採用。また悪路走行時に自動起動する「フロントアンダーフロアビュー」付きの3Dマルチアラウンドモニターは、ラダーフレームSUVならではの実用装備として光る。
オーディオはヤマハ株式会社と共同開発した「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を採用。12スピーカー+デュアルアンプ構成で、車速に応じた自動音質補正機能も備える。

展開スケジュールと日本市場への期待
三菱自動車の公式発表によれば、2026年度中にまず生産拠点であるタイを皮切りに、日本、オーストラリアへ投入を開始。次年度以降はASEAN、中南米、中東など世界約100カ国へ順次展開していく計画だ。
一方で、日本での具体的な発売時期や価格、グレード体系・国内仕様の詳細は、今回のリリース時点では一切発表されていない。日本市場への正式投入が「2026年度内」とされている点だけが現時点で確認できる情報であり、価格や装備の詳細については続報を待つ必要がある。
Roadly編集部としては、日本国内での販売体制や価格帯の発表が次のヤマ場になるとみている。ボディサイズや装備内容を踏まえると、プレミアムSUVカテゴリに相当するポジションでの展開になる可能性が高いが、現時点では推測の域を出ない。三菱自動車のスペシャルサイト(https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/pajero/special/)でも随時情報が更新される見込みのため、チェックしておきたい。

新型パジェロ 主要諸元(公式発表分)
| 項目 | 新型パジェロ |
|---|---|
| 全長 | 4,920mm |
| 全幅 | 1,925mm |
| 全高 | 1,910mm ※1 |
| ホイールベース | 2,870mm |
| 前後トレッド | 1,630mm |
| 最低地上高 | 230mm ※1 |
| アプローチアングル | 30.4度 ※1 |
| ランプブレークオーバーアングル | 22.6度 ※1 |
| デパーチャーアングル | 25.8度 ※1 |
| 前後重量配分 | 52:48 |
| エンジン | 2.4L クリーンディーゼル ワイドレンジ シングルVGターボ/専用開発 |
| 最大トルク | 480N・m ※2 |
| トランスミッション | 新開発 8速AT(スポーツモード付) |
| 駆動方式 | スーパーセレクト4WD-II(SS4-II) 2H/4H/4HLc/4LLc + S-AWC |
| ドライブモード | 7モード(NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCK) |
| ボディ構造 | 高剛性ラダーフレーム |
| サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン式独立懸架 後:新開発 5リンク式リジッド |
| ブレーキ | 18インチ大径ローター+電動ブースター |
| 乗車定員 | 3列7名 |
| 日本での発売時期 | 未発表 2026年度にタイ・日本・オーストラリアへ投入予定 |
| 日本での価格 | 未発表 |
※1:20インチタイヤ装着車の数値。
※2:一部仕様では470N・m。
※最高出力・車両重量・燃費・グレード構成・国内仕様の詳細は、2026年9月2日の公式リリース時点では発表されていません。数値はすべて同リリースに基づく発表時点のもので、変更される場合があります。
Roadly編集部コメント
Roadly編集部として正直に言えば、この新型パジェロには「本物感」がある。高剛性のラダーフレームを採用し、今回の発表でアナウンスされたパワートレインは2.4Lクリーンディーゼルのみ。7つのドライブモードと本格的なアングル数値を堂々と公表する姿勢は、近年のクロスオーバーSUVブームに迎合しない意志を感じさせる。デザインの随所に歴代モデルへのオマージュを織り込みながら、14.3インチのモノリスディスプレイやヤマハ製プレミアムオーディオで現代の上質感も追求する。本格オフローダーとしての実力に加え、ファミリーユースや長距離ドライブでの快適性も備えた「全方位型フラッグシップ」を目指していることは明らかだ。日本での価格次第ではあるが、アウトドア志向のドライバーはもちろん、三菱車のDNAに共感するユーザーにとっても、選択肢として真剣に検討できるモデルになりそうだ。
新型パジェロは、本格クロスカントリー性能と上質な乗り味・装備を高次元で融合させた、三菱自動車の本気が詰まった一台だ。日本での詳細スペックや価格発表に引き続き注目したい。
情報源・出典
- 情報源:Mitsubishi 公式(日本)
- プレスリリースタイトル:三菱自動車、新型クロスカントリーSUV『パジェロ』を世界初披露
- プレスリリースURL:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsroom/newsrelease/2026/20260902_1.html
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。スペック・価格・発売時期等は変更される場合があります。