アウディのスポーツ部門「Audi Sport」が送り出す新型RS 5が、ついにその全貌を明らかにした。最大の注目点は、RSモデルとして初めてプラグインハイブリッドシステムを採用した点だ。ツインターボV6エンジンと電動モーターを組み合わせた「Power PHEV」の搭載により、RSが長年積み上げてきた高性能の哲学が電動化時代に対応した新章へと踏み込んだ。欧州では2026年6月末からの販売開始が予定されており、すでに注文受付も始まっている。エンジン好きのドライバーにとって、見逃せない一台だ。
この記事のポイント
- RSモデル初のプラグインハイブリッド|ツインターボV6+電動モーターの「Power PHEV」を初採用
- 新世代quattroに電動トルクベクタリングを統合し、後輪への駆動力配分を精密にコントロール
- 欧州では2026年6月末から販売開始、現地ではすでに注文・コンフィギュレーターが稼働中
RS初のPHEV、その核心
新型RS 5の最大のトピックは、Audi Sport初のプラグインハイブリッドモデルである点だ。アウディ公式の発表によれば、パワートレインはツインターボV6エンジンと電動モーターを組み合わせた構成で、同社はこれを「Power PHEV」と位置づけている。
RSといえば、自然吸気や過給エンジン単体の高回転型スポーツモデルというイメージを持つファンも多いだろう。しかし今回の電動化は「RSらしさを薄める妥協」ではなく、電動モーターが持つ瞬時の最大トルクをスポーツ走行に活かす方向性として採用されている。アウディ公式が公開した開発者コメントでは「RSのパフォーマンスと電動化を融合させた」と表現されており、パフォーマンス指向は変わらない姿勢が強調されている。
ボディタイプはステーションワゴンの「RS 5 Avant」とセダンの「RS 5 Sedan」の2バリアントが用意される。アウディ公式が公開した欧州仕様の燃費・電力消費データは下記の通り(いずれも複合値、WLTP相当):
– RS 5 Avant:燃費 4.5〜3.9 l/100km、電力消費 18.7〜17.8 kWh/100km、CO2 排出 102〜88 g/km
– RS 5 Sedan:燃費 4.3〜3.8 l/100km、電力消費 18.4〜17.7 kWh/100km、CO2 排出 98〜86 g/km
いずれもCO2クラスはC〜Bと、ハイパフォーマンスモデルとしては高い環境性能をマークしている。ただしシステム合計出力や電動モーター単独走行可能距離といった詳細スペックは正式公開されていないため、現時点では欧州仕様の追加発表を待つ必要がある。

電動トルクベクタリング搭載の新quattro
新型RS 5では、駆動システムにも大きなアップデートが加わっている。アウディ公式の情報によると、搭載されるのは「quattro with Dynamic Torque Control」と呼ばれる新世代のAWDシステムで、電気機械式トルクベクタリングによって後輪左右への駆動力配分を精密にコントロールする。
トルクベクタリングとは、コーナリング中に外輪側により多くのトルクを送ることでクルマをコーナーの外側に向けて押し出す(アウトリップ方向に旋回させる)技術だ。従来の機械式LSDと比較して応答速度が速く、電子制御との親和性が高い。ポルシェ「911 GT3 RS」に搭載される「PTM」や、BMW「M5」のアクティブMデフなどにも同様の考え方が採用されており、ハイパフォーマンスカーの最前線では今やスタンダードな技術になりつつある。
アウディ公式の試乗コメントでは、開発担当者が「笑顔にならずにはいられないクルマ。体験しなければ伝わらない感覚だ」と表現しており、ドライビングの楽しさという観点でも高い評価が開発現場から出ている。

国境を超えた開発体制の裏側
新型RS 5の完成を語るうえで外せないのが、そのユニークな開発プロセスだ。アウディ公式が明らかにしたところによると、このクルマのエンジン開発はドイツ・ネッカーズルムとハンガリー・ジェールにあるアウディ・ハンガリアが緊密に連携して進められた。
役割分担は明確で、エンジンの設計・検証はネッカーズルムのチームが担当し、量産前プロセスの完了後にアウディ・ハンガリアが継続エンジニアリングと製造を引き継ぐ体制が取られているという。単に工場を分けているだけでなく、両拠点が節目ごとにハンドオーバーワークショップを開催し、書面と署名による正式な引き継ぎを行うことで品質基準と責任の所在を明確にしているのが特徴的だ。
アウディ公式の開発者コメントでは「毎回ゼロから作り直す必要がない。長年の共有経験がプロジェクトに確実性をもたらし、意思決定のスピードを上げてくれる」という言葉が紹介されており、多国間連携が効率と品質の両立に貢献していることが伺える。グローバルな分業体制が当然となった現代の自動車開発において、この透明性の高いプロセス設計は一つのモデルケースといえるかもしれない。

欧州市場と日本導入の展望
アウディ公式によれば、新型RS 5は欧州市場において2026年6月末から販売が開始される予定で、現地ではすでにオンラインコンフィギュレーターでの仕様選択と注文受付がスタートしている。
日本への正式導入時期や価格については、現時点でアウディ ジャパンからの公式アナウンスはなく、詳細は未定だ。ただし、アウディはこれまでRS 4・RS 5シリーズを日本市場にも継続して投入してきた経緯があることを踏まえれば、国内導入も視野に入っているとみられる。PHEVモデルの場合、日本では補助金制度の対象となる可能性もあり、導入条件次第では購入コスト面でもメリットが生じることが考えられる。いずれにせよ、正式な国内発表を待ちたいところだ。

Roadly編集部コメント
RSモデルにPHEVが来る。と聞いて複雑な思いを抱いたエンジン派の方もいるかもしれません。しかし今回の新型RS 5が採用した「Power PHEV」の方向性は、電動モーターの即応性をスポーツ走行に積極的に使うアプローチであり、単なる燃費対策的な電動化とは一線を画します。電動トルクベクタリング統合の新型quattroも含め、「性能向上の手段として電動化を選んだ」という姿勢は評価できます。V6ツインターボのサウンドと電動アシストの組み合わせがどんなドライビング体験を生み出すのか、実際に日本の道で確かめたいと感じさせる一台です。欧州仕様の詳細スペック公開と、国内導入のアナウンスを引き続き注視していきます。
RSモデル初のプラグインハイブリッドとして登場した新型アウディRS 5。電動化と高性能の融合がどこまで本物か、国内での正式発表を楽しみに待ちたい。続報はRoadlyで随時お届けします。
情報源・出典
- 情報源:Audi 公式(欧州)
- プレスリリースタイトル:The new Audi RS 5: cross-site engine development
- プレスリリースURL:https://www.audi-mediacenter.com/en/press-releases/the-new-audi-rs-5-cross-site-engine-development-17958
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。スペック・価格・発売時期等は変更される場合があります。