1156PS、車重はおよそ2.7トン超。数字だけ見れば「これは本当にポルシェか?」と目を疑いたくなる。2025年に登場した新型「ポルシェ カイエン ターボ エレクトリック」は、同ブランド史上最大出力かつ最重量のモデルであり、フル電動SUVというジャンルの常識を塗り替えようとしている。元フォーミュラEドライバーのダニエル・アプトが自身のYouTubeチャンネルでこのモデルをフィーチャーし、大きな話題を集めている。果たして「重くて速い」というパラドックスを、ポルシェのエンジニアリングはどう解決したのか。編集部なりの視点も交えながら、その全貌を読み解いていく。
この動画のみどころ
- ポルシェ市販車史上最大出力となる1156PSという衝撃のスペック
- フル電動ながら0-100km/h加速3秒以下を実現するパフォーマンスSUVの矛盾と可能性
- 2トンを超える車重をどうコントロールするか、ポルシェの足回り哲学とEVの融合
- 元フォーミュラEドライバー、ダニエル・アプトによる率直なインプレッションと評価
1156PSという数字の意味
ポルシェがカイエンにフル電動バリアントを追加したこと自体は想定の範囲内だったとしても、最高出力1156PSというスペックは多くの自動車ファンの予想を大きく上回るものだった。これはランボルギーニ レヴエルトのハイブリッドシステム合算出力(1015PS)さえも超え、市販SUVとしては世界最高水準に位置する数値だ。
パワートレインは前後それぞれに電動モーターを配置するデュアルモーター式AWDを採用。巨大なバッテリーパックを床下に搭載することで重心を下げ、重量増をハンドリング面でできる限り相殺する設計思想は、ポルシェがタイカンで培ったノウハウの延長線上にある。
単純な出力競争という批判もあり得るが、ポルシェはこの数字を「タイムアタック用の瞬間最大出力」ではなく、日常域での力強い加速フィールのために活用しているとされており、ドライバビリティを重視した味付けが施されている可能性が高い。

重さと速さのジレンマ
カイエン ターボ エレクトリックが直面する最大の課題は、車重だ。大容量バッテリーを搭載するEV SUVとして、車両重量は2.7トンを超えると見られており、これは従来のカイエン ターボ(約2.2トン)を大きく上回る。重量増は慣性モーメントの拡大を招き、コーナリング時の動きやブレーキングに直接影響する。
しかしポルシェはこの問題に対して、電動リアアクスルステアリングの進化版、磁気式アクティブロール制御(e-PDCC)、そしてエアサスペンションを組み合わせることで対処しているとされる。特にリアアクスルステアリングは低速域では逆位相に、高速域では同位相に制御することで、実質的なホイールベースを動的に変化させ、「重さを感じさせない」フットワークを追求している。
ダニエル・アプトのチャンネルでも言及されている通り、このモデルの走りを評価するうえで「重さ」という先入観をいったん脇に置いて体感することが重要なポイントになりそうだ。ライバルはメルセデスAMG GLE 63 EやBMW XM Labelといったハイパフォーマンス電動SUVとなるが、出力スペックではカイエンが一頭地を抜く。

ポルシェ×EV時代の新定義
カイエンはポルシェの収益を長年支えてきた最量販モデルであり、その電動化は単なる新グレード追加ではなくブランドの方向性を象徴するメッセージでもある。ターボ エレクトリックというネーミングは、かつてのターボという称号が「頂点の証」として機能してきたポルシェのヒエラルキーを、EV時代にも継承しようとする意志の表れと見ることができる。
一方で、カイエンのオーナー層はサーキットよりも週末のロングドライブや家族を乗せた高速巡航を重視するユーザーが多い。その意味では、1156PSというスペックは日常的に使いきれるものではないが、「余裕の塊」として安心感や非日常の昂揚感を提供するという点で十分な存在意義を持つ。
航続距離については現時点で公式数値が限定的だが、同じポルシェのタイカン ターボ Sが600kmを超える実用航続距離を持つことを考えると、バッテリー容量と車重のバランスによっては400〜500km程度に落ち着く可能性もある。このあたりは実際のロングドライブテストが待たれるところだ。週末ドライバーにとっても気になる現実的な指標と言えるだろう。

Roadly編集部コメント
Roadly編集部としては、このカイエン ターボ エレクトリックを「スーパーカーの性能をSUVの利便性で包んだ最終形態」として捉えている。カーオーナーにとって、家族を乗せながらも圧倒的な加速フィールを味わえるというのは、現実的な購買動機として十分魅力的だ。ただし価格帯はおそらく2,000万円超に達するとみられ、気軽に乗り換えられる存在ではない。ダニエル・アプトは元レーシングドライバーとして走りの本質を鋭く評価するチャンネルを運営しており、彼の視点からどんな言葉でこのクルマを表現するかは、動画を実際に視聴して確かめてほしい。EV時代の「頂点」を目撃する体験になるはずだ。
ポルシェ史上最強・最重という前人未到のスペックを持つカイエン ターボ エレクトリック。その走りの真髄はダニエル・アプトのチャンネル動画でじっくり確認してみてほしい。EV SUVの新たな頂点がここにある。
動画情報
- タイトル:1156PS Porsche Cayenne Turbo Electric 🤯 | Der STÄRKSTE & SCHWERSTE Porsche Aller Zeiten?! 🚀
- チャンネル:Daniel Abt
- 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=d9a_nmk_Hrg
※本記事は上記の動画を参考に、編集部が独自に構成・執筆しています。