ボルボが満を持して投入した純電動SUV「EX60」。ロングセラーモデルXC60の電動版とも言えるこの一台は、プレミアム電動SUV市場でBMW iX3やメルセデス・ベンツ GLC EQ、アウディ Q6 e-tronという強敵を相手に真っ向勝負を挑む。ドイツ系自動車チャンネル「Autogefühl」がスペインの高速道路で実施した実走行レンジテストを含む詳細レビューをもとに、Roadly編集部が国内ドライバー目線で読み解く。
この動画のみどころ
- スペイン高速道路での実走行航続距離テストを初公開で実施
- P6/P10/P12の3グレード構成と最大112kWhバッテリーの詳細
- 800Vアーキテクチャによる超高速充電:10〜80%をわずか16分で達成
- BMW iX3・メルセデス GLC EQ・アウディ Q6 e-tronとの競合比較視点
エクステリア:北欧の静けさを纏う堅実なデザイン
EX60のボディサイズは全長4.80メートルと、プレミアムミドルSUVとして申し分ないボリューム感を持つ。フロントフェイスにはボルボ伝統の「トールズハンマー」型デイタイムランニングライトを採用し、メインのヘッドランプユニットはその下部に配置される構造だ。上位グレードではマトリクスLEDはもちろん、さらに細やかな配光制御が可能なピクセルLEDも選択できるという。
Autogefühlのレビューでは、EX60のデザイン哲学について「派手さより誠実さを選んだ」という趣旨のニュアンスが伝わってくる。ライバルのiX3やGLC EQが各々のブランドアイデンティティを前面に押し出すのに対し、EX60はいわゆる「ボルボらしさ」を丁寧に電動化したという印象だ。リアのライトシグネチャーも過去のXCシリーズを参照しつつ、より現代的な解釈で仕上げられており、一目でボルボとわかる連続性を保っている。
ホイールは20〜22インチをラインナップ。興味深いのはタイヤ幅の構成で、20インチのみ細めのサイズとなり、21・22インチは前後ともワイドサイズに統一される点だ。上位トリムには21インチ以上が標準装備されるため、電費を優先したいならエントリーグレードの選択が鍵になる。

パワートレイン:3バリアントの棲み分け
EX60は「P6」「P10」「P12」の3つのバッテリー・モーター構成を用意する。エントリーのP6はネット容量80kWhの後輪駆動、中間のP10は92kWhの四輪駆動で0〜100km/hを4.6秒でこなす。最上位のP12は112kWhという大容量バッテリーを搭載し、加速性能はさらに上のステージへ踏み込む。
動画内での解説によれば、P10はメルセデス GLC EQとほぼ同等のバッテリー容量に相当し、P12に関してはBMW iX3を上回る容量となる。現時点ではP10が最も入手しやすい状況とのことで、多くの購入検討者がP10を選んでいるようだ。
注目すべきは充電性能で、800Vアーキテクチャの採用によりDCピーク370kWという高速充電が可能。AWDモデルのP10では10〜80%の充電をわずか16分で完了できるとされており、これはライバルに対して明確なアドバンテージとなる数字だ。P12でも19分以内と、充電ストレスを大きく軽減できるレベルにある。AC充電も11kWおよび22kWに対応し、プラストリム以上では22kWが標準で含まれる設定だ。充電口は大型の手動フラップで開閉する方式で、左右どちらからでもケーブルを接続できる利便性も見逃せない。

足回りと乗り心地:サスペンション選択の重要性
サスペンションはベースが「周波数選択式ダンピング」を備えた固定減衰タイプ。完全なアクティブ可変ではないものの、受動的な適応機能を持つ設計だ。今回のテスト車両はオプションのアダプティブサスペンションを装着しており、動画ではその走行フィールが実際のスペイン高速道路で検証されている。
さらに上を望むなら、クロスカントリーモデルを選ぶことでエアサスペンションが選択可能になる。ただし動画の撮影時点では、クロスカントリーおよびP12バッテリーのデリバリーは通常モデルより遅れる見通しとのことだった。
BMW iX3の引き締まった走り、GLC EQの重厚な乗り味と比較すると、EX60のアダプティブサスペンション仕様はスカンジナビア的な「快適さと安定性の均衡」を重視した方向性を感じさせる。Autogefühlの試乗レビューでも、実際の高速走行における安定感とコンフォート性能の両立が確認されている。

インテリアとデザイン細部
内装はエクステリアよりも明るいカラートーンが採用されており、スカンジナビアデザインらしい清潔感と開放感が際立つ。詳細については動画内で深く掘り下げられており、Autogefühlのレビュー映像では4K・フルスクリーンの映像でその質感を確認できる。
ユニークな話題として、ドアハンドルのデザインが動画内で特に注目されている。外観上はフラッシュサーフェスに近いすっきりとした処理が施されているが、フラッシュタイプとは異なり小さなフィンが常に外に出た状態で存在し、その背後のボタンを押すことで開錠する仕組みを採用している。デザインの美しさと実用性のバランスという永続的なテーマに対して、ボルボなりの回答を示した部分と言えるだろう。
フランク(フードストレージ)も装備されており、積載スペースとしての活用が可能。ただし容量的にはスーツケースを収めるほどの余裕はなく、ケーブル類の収納など補助的な用途が主となる。このあたりはライバル各車も似たり寄ったりで、EX60特有の課題というわけではない。
市場環境とボルボの現在地
2026年時点でボルボは営業面での厳しい局面を迎えている。動画内でも触れられているように、純利益の赤字転落や市場シェアの縮小、加えて米国の関税問題や中国市場での競争激化が重なり、電動化シフトの難しさを改めて示す形になっている。
しかし、そのような状況下でもEX60は需要が供給を上回るほどの人気を集めているという。プレミアム電動SUVセグメントは、燃焼エンジンから電動へ乗り換えを決断したドライバーが最終的に選ぶ最有力候補として注目度が高い。扱いやすいサイズ感、大容量バッテリーによる実用的な航続距離、そして今回明らかになった800V超高速充電の組み合わせは、EX60をこのセグメントの台風の目にする可能性を十分に秘めている。
ボルボがこの一台で反転攻勢に出られるかどうか、今後の販売動向と合わせて注目していきたい。
Roadly編集部コメント
Roadly編集部として率直に言えば、EX60は「電動化時代のXC60」として非常に筋の通った完成度を感じさせる一台だ。特に800Vアーキテクチャによる充電速度は競合を意識した明確な差別化ポイントで、長距離移動を頻繁にこなすドライバーにとっては見逃せないスペックと言える。BMW iX3が走りの楽しさを、GLC EQがラグジュアリー感を訴求するのに対し、EX60は「安全で快適で、でも退屈ではない」というボルボ本来の価値観を電動時代に再定義しようとしている印象だ。P10グレードの現実的な価格帯と待ち時間の短さも含め、今まさに電動SUVへの乗り換えを検討しているドライバーに最もストレートに刺さる選択肢かもしれない。
ボルボ EX60の実力は、スペインでの実走行テストという厳しい条件下でも十分に示されたようだ。ライバルとの詳細な比較やインテリアの質感チェックはAutogefühlの4K動画でじっくりと確認してほしい。
動画情報・出典
- タイトル:Volvo EX60 driving REVIEW – can it really beat BMW iX3 and Mercedes GLC EQ?
- チャンネル:Autogefühl
- 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=tucmr_xsrxw
本記事は上記動画の内容を元に、Roadly編集部が独自視点で再構成・執筆した解説記事です。動画および動画内の映像・音声・サムネイル画像の著作権は、投稿者である Autogefühl に帰属します。動画本編の視聴は上記リンクよりご確認ください。
※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。