2026年7月29日、メルセデス・ベンツはワルシャワとシュトゥットガルトを舞台に、フルモデルチェンジした新型「GLA」を世界初公開した。初代から続くコンパクトSUVの旗手がMMAプラットフォームを採用して完全刷新。低く構えた新デザイン、点灯する「アイコニックグリル」、最大657kmのWLTP航続を誇るEVパワートレイン、そして生成AIを組み込んだMBUX Virtual Assistantまで、ほぼあらゆる要素が生まれ変わった。ドイツ市場向けの受注は翌7月30日から開始され、電気自動車3モデルの市場投入は2026年11月を予定。日本導入時期・国内価格は現時点で未発表だが、次世代コンパクトSUVの到達点として注目度は高い。
この記事のポイント
- EV3モデルが2026年11月発売。最上位GLA 350 4MATIC electricは0-100km/h 5.4秒、WLTP航続最大643km
- 800V対応の最大320kW急速充電で約10分の充電でWLTP換算最大270km分を追加可能
- ホイールベースを61mm延長し後席レッグルームを38mm拡大。荷室は先代比+70Lの最大410L
- 生成AI(ChatGPT・Gemini・Bing連携)搭載のMBUX Virtual Assistantと全幅MBUXスーパースクリーンを採用
- 高性能ハイブリッド版(1.5L 48V)は2027年初頭に登場予定。日本導入時期・価格は未発表
140周年の節目に刷新されたGLA
メルセデス・ベンツ グループAG会長のオラ・ケレニウス氏は新型GLAについて「140年のイノベーションを背景に作り上げた、これまでで最も表現力豊かなGLA。すでにベストセラーであるコンパクトモデルの魅力をさらに高めた」とコメントしている。2026年はちょうどメルセデス・ベンツ創業140周年という節目にあたり、ブランドにとって象徴的なタイミングでの刷新となった。
GLAはメルセデスのコンパクトSUVセグメントで世界的なベストセラーモデルだ。今回の新型はMMA(Mercedes-Benz Modular Architecture)プラットフォームを採用し、電動化を軸に据えた設計へ根本から生まれ変わった。発売時点では電気自動車のみのラインアップで、高性能な48Vマイルドハイブリッド版は2027年初頭に登場する予定となっている。
ドイツ市場での受注は2026年7月30日からスタートし、電気自動車3モデルの実際の市場投入(発売)は2026年11月を予定。日本導入時期・国内価格については現時点で未発表のため、続報を待ちたい。

新デザインの読み解き方
外観で真っ先に目を引くのが、メルセデスのコンパクトセグメントで初採用となる「アイコニックグリル」だ。点灯可能な構造で、608個のポリカーボネート製ライトポイントと158個のマイクロLEDを内包。選択したサウンドスケープの「Aura音」に連動して光が揺らめくという、これまでにない演出を持ち込んでいる。なお内燃エンジン版(ハイブリッド)には150個のホットスタンプ加工スターで構成する「スターグリル」が採用される。
ボディシルエットは先代より全高を20mm低く抑える一方、ホイールベースを61mm延長。リヤトレッドを拡大し、18〜20インチのホイールをボディ面と面一に近い形で配置することで、より踏ん張り感のあるスタンスを表現した。空気抵抗係数(Cd値)は0.27と、コンパクトSUVとしては優秀な数値を実現している。
ヘッドランプはLEDハイパフォーマンスを標準とし、オプションのMULTIBEAM LEDではスター型デイタイムランニングランプと連結リヤライトのアニメーションが選べる。グレード構成はStyle Line/PROGRESSIVE Line/AMG Line/AMG Line Plus(今回GLAで初設定)の4ラインに加え、ナイトパッケージを組み合わせたナイトエディションも用意される。

広くなった室内と使い勝手
ホイールベース延長の恩恵は数字に直結している。前席レッグルームが7mm、2列目は38mm拡大。ヘッドルームも前後それぞれ23mm・24mm増え、コンパクトSUVとは思えない開放感を実現したとメルセデス・ベンツ公式は説明する。
荷室容量は最大410Lで、先代比で70Lの拡大。後席を倒した状態では最大1,400Lまで広がる。電気モデル専用の特典として、フロントボンネット下に107Lのフルサイズフランク(フロントトランク)が設けられた点も見逃せない。買い物や泊まりがけのドライブで荷物の積載スペースに余裕が生まれる。後席は40/20/40分割で個別に格納でき、長尺物の積み込みにも対応する。
パノラミックルーフは標準装備で、断熱合わせガラスに赤外線反射とLow-Eコーティングを施して夏場の遮熱性能を高めた。オプションの「SKY CONTROLパノラミックルーフ」は7セグメント構成で10〜20ミリ秒で調光でき、夜間には172個の星を天井に灯す機能を備える(※本機能は発売時点では未提供で、後日提供予定)。4MATIC(AWD)グレードはセミ電動トウバーをオプション設定し、最大2トン(ブレーキ付)のけん引が可能だ。

EV3モデルのスペックを比較する
2026年11月に市場投入されるのはGLA 200 electric、GLA 250+ electric、GLA 350 4MATIC electricの3モデルだ。それぞれの特性を整理しておこう。
エントリーの「GLA 200 electric」はリン酸鉄リチウム(LFP)電池を採用し、使用可能容量58kWh。最高出力165kW・最大トルク335Nm、0-100km/hは8.1秒。WLTP航続は394〜447km。最大DC充電は200kWで、10分充電でWLTP換算145〜165km分の電力を補充できる。ドイツ市場税込価格は48,599.60ユーロからとなっている。
「GLA 250+ electric」はNMC電池85kWhを搭載し、最高出力200kW・最大トルク335Nm。WLTP航続は577〜657kmと、3モデル中最長の数値をマーク。最大DC充電は320kWに対応し、10分でWLTP換算240〜270km分を補充可能。ドイツ市場税込価格は54,978ユーロから。
最上位「GLA 350 4MATIC electric」は同じく85kWh NMC電池を搭載しながら前後2モーターAWD構成。最高出力260kW・最大トルク515Nmで0-100km/hは5.4秒、WLTP航続は555〜643km。ドイツ市場税込価格は58,107.70ユーロから。なお2027年初頭には、71kWhのNMC電池を搭載する追加モデルも設定予定だ。

800V・2速ギアが生む充電・走行効率
新型GLAの電動パワートレインで注目すべき技術的特徴のひとつが800V対応の急速充電だ。最大320kWのDC急速充電ステーションに接続すれば、約10分でWLTP換算最大270km分の電力を補充できる。オプションのDCコンバーターを使えば400V充電器にも対応するため、充電インフラの整備状況に左右されにくい。
後車軸に搭載されるのは、メルセデス・ベンツが独自開発した永久磁石同期モーター(PSM)。高性能パワーエレクトロニクスには炭化ケイ素(SiC)インバーターを採用し、長距離でのバッテリー・トゥ・ホイール効率は93%を達成している。さらに2速トランスミッションを組み合わせ、1速(ギア比11:1)で発進加速・市街地効率、2速(5:1)で高速域の効率と長距離航続を最適化する構成だ。
4MATICのAWDモデルは前車軸にもPSMを搭載し、ディスコネクトユニット(DCU)によって低負荷時に前車軸を瞬時に切り離す。この機能により前車軸の損失を最大90%低減し、航続距離の延長に貢献する。回生ブレーキはOne-Boxブレーキシステムによって最大200kWで機能し、電気的に停止まで対応可能。D Auto/D+/D/D-の4段階で回生強度を選べる。

生成AI搭載のMBUXと車内体験
インテリアの主役は大型の「MBUX Superscreen」だ(オプション)。ダッシュボード全幅にわたって、10.25インチのメーターディスプレイ、14インチの中央ディスプレイ、14インチの助手席ディスプレイが並ぶフローティングレイアウトを採用。助手席ディスプレイなしの仕様ではスターパターンのトリムが配置される。
注目の「MBUX Virtual Assistant」は生成AIを活用し、ChatGPT・Microsoft Bing・Google Geminiを組み合わせた「マルチエージェント」方式を採用。状況に応じて最適なモデルを自動選択し、株価・通貨換算・天気・スキー場の雪質といった多彩な質問に答える。3種類のアバターから好みのキャラクターを選べるのもユニークな点だ。
ナビゲーションはGoogle Mapsベースで、Mercedes-Benz Navigation with Electric Intelligenceが充電計画付きの最速ルートを算出。新設の「MBUX Surround Navigation」は3Dゲームエンジンでリアルタイム描画し、ルート案内と運転支援ビューを統合して表示する。アンビエントライトは64色・10カラースキーム・20段階の明るさ・3ゾーン制御に対応。オプションのBurmester 3DサラウンドサウンドはDolby Atmos対応で16スピーカー850Wアンプ構成だ。車内エンタメはYouTubeやDisney+を含む40以上のアプリに対応するが、DAZNと車内AirPlayビデオは発売時点では未提供で、後日提供予定となっている。

運転支援と走行モード
安全・運転支援システムは8カメラ・5レーダー・12超音波センサーという豊富なセンサー群を持ち、水冷式の高性能コントロールユニット(最大254 TOPS)がそれらを統合処理する。OTAアップデートにも対応しており、購入後も機能を更新できる点は長く付き合う上で安心感がある。
標準の「MB.DRIVE ASSIST」はDISTRONICにステアリングアシストを加えたSAEレベル2の機能セットで、新たにレーンチェンジアシストを追加。ウインカー操作で車線変更を支援する。上位の「MB.DRIVE ASSIST PLUS」は高速道路において条件下での自動車線変更に対応する。
駐車支援の「MB.DRIVE PARKING ASSIST」は白線のない駐車枠も検知し、手動駐車後でも自動出庫が可能。3Dサラウンドビュー、リムプロテクション警告、リバースマヌーバー機能も備える。4MATICモデルの走行モードはECO/COMFORT/SPORT/INDIVIDUALに加えてTERRAINを設定し、軽度のオフロード走破性も確保。オプションの「トランスペアレントボンネット」では車体下の仮想映像を確認しながら走行できる。

2027年初頭登場の48Vハイブリッド版
電気自動車3モデルに続いて2027年初頭に登場予定なのが、完全新開発の1.5L直列4気筒ターボ(M252型)を搭載した内燃エンジン版だ。ミラーサイクル燃焼・圧縮比12:1・FAMEエンジン技術を採用する新世代ユニットで、前輪駆動(FWD)と4輪駆動(4MATIC)の両方が予定されている。
電動化システムには最大1.3kWhのリチウムイオン電池を使った48Vマイルドハイブリッドを採用。電動化された8速デュアルクラッチ(8F-eDCT)にモーターを統合してコンパクトにまとめ、最大22kWのブースト出力と全8段で最大25kWの回生に対応する。市街地では純EVに近いコースティング走行が可能で、100km/h超でも22kW未満の領域ではモーターだけで走れるという。出力帯と駆動形式については複数の設定が予定されているとのことだが、詳細はあらためて発表される見込みだ。

生産・サステナビリティの取り組み
新型GLAの生産拠点は1992年から操業するドイツ・ラシュタット工場で、従業員数は約6,000人。GLA・EQA・CLAクーペ・CLAシューティングブレークを同一ラインで生産し、BEVと内燃車を柔軟に混流生産できる体制を整えている。
環境負荷の面では、バリューチェーン全体のCO2フットプリントが現行の内燃エンジン版GLA比で約40%削減(1台あたり約400kgのCO2削減)に相当するとメルセデス・ベンツは発表している。素材面でもリサイクル材の使用量は先代の4倍超に拡大し、カーペットには100%リサイクル繊維のEconyl糸を採用。製品としての走行時ゼロエミッションにとどまらず、製造プロセス全体での環境配慮を重視した姿勢が見て取れる。

新型GLA 電気自動車3モデル 諸元・価格(ドイツ市場)
| 項目 | GLA 200 electric | GLA 250+ electric | GLA 350 4MATIC electric |
|---|---|---|---|
| 最高出力(ピーク) | 165kW | 200kW | 260kW |
| 最大トルク(ピーク) | 335Nm | 335Nm | 515Nm |
| 駆動方式 | 後輪駆動 | 後輪駆動 | 4MATIC(AWD) |
| 電池(化学組成) | リン酸鉄リチウム(LFP) | ニッケルマンガンコバルト(NMC) | ニッケルマンガンコバルト(NMC) |
| 電池 使用可能容量 | 58kWh | 85kWh | 85kWh |
| WLTP航続距離 | 394〜447km | 577〜657km | 555〜643km |
| 0-100km/h加速 | 8.1秒 | 7.3秒 | 5.4秒 |
| 最高速度 | 210km/h | 210km/h | 210km/h |
| 最大DC充電 | 200kW | 320kW | 320kW |
| DC10分の追加航続(WLTP) | 145〜165km | 240〜270km | 230〜265km |
| 最大AC充電 | 22kW(標準11kW) | 22kW(標準11kW) | 22kW(標準11kW) |
| 複合電力消費 | 17.0〜14.8kWh/100km | 17.3〜15.1kWh/100km | 17.6〜15.1kWh/100km |
| CO2排出/CO2クラス | 0g/km/A | 0g/km/A | 0g/km/A |
| 価格(ドイツ・税抜) | 40,840ユーロ〜 | 46,200ユーロ〜 | 48,830ユーロ〜 |
| 価格(ドイツ・税込) | 48,599.60ユーロ〜 | 54,978ユーロ〜 | 58,107.70ユーロ〜 |
※価格・仕様はすべてドイツ市場向けで、日本導入時期・国内価格は未発表です。AC充電22kWはオプション(標準は11kW充電器)。航続・電力消費はWLTP値で、実際は運転方法・環境・積載などにより変動します。市場投入は2026年11月。2027年初頭には71kWh(NMC)電池搭載モデルの追加が予定されています。高性能内燃(48Vハイブリッド)版は2027年初頭に別途登場予定です。
Roadly編集部コメント
新型GLAは「コンパクトなのに妥協しない」という方向性をさらに押し進めたモデルだと感じる。ホイールベース延長による後席空間の拡大、最大1,400Lの荷室、107Lのフランクと実用性は着実に向上している。一方で800V対応の最大320kW急速充電や2速ギア搭載のPSMモーターといった電動技術は、国産コンパクトSUVにはまだ見当たらない水準だ。EV版の最上位GLA 350 4MATIC electricは0-100km/h 5.4秒と、スポーティなドライビングを求める層にも刺さる数値を持つ。生成AI統合のMBUX Virtual Assistantや全幅スーパースクリーンは、車内を「もう一つの生活空間」として使いたいユーザーへの強いアピールポイントになるだろう。日本導入が発表された際には改めて詳報をお届けしたい。
新型GLAは電動化・先進テクノロジー・拡大した居住性を一台に凝縮したコンパクトSUVの新基準だ。日本導入の詳細はまだ明らかになっていないが、続報が待ち遠しいモデルであることは間違いない。Roadlyでは引き続き最新情報をお届けする。
情報源・出典
- 情報源:Mercedes-Benz 公式(欧州)
- プレスリリースタイトル:The all-new Mercedes-Benz GLA: Designed to excite you every day
- プレスリリースURL:https://media.mercedes-benz.com/en/article/3052582d-2ce8-4add-b6e3-a60b066a1fed
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
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