アストンマーティン「Heritage Edition」全5台|60〜70年代の伝説カラーが現行スポーツカーに復活
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アストンマーティン「Heritage Edition」全5台|60〜70年代の伝説カラーが現行スポーツカーに復活

2026.08.13

アストンマーティンのビスポーク部門「Q by Aston Martin」と、米カリフォルニア州のディーラー「Aston Martin Newport Beach」が共同で、世界限定5台の「Heritage Edition」コレクションを発表した。アストンマーティン公式プレスリリース(PR TIMES配信)が2026年8月に明らかにした内容によれば、1960〜70年代に同ブランドの名車を彩ったアイコニックなボディカラーを最新塗装技術で忠実に再現し、現行2027年モデルのスポーツカー5台に落とし込んだ企画だ。メーカーが主導するグローバルな限定車とは異なり、特定のディーラーとビスポーク部門のコラボレーションによる「ワン・オブ・ワン」仕様である点が、このコレクションの最大の特徴といえる。

この記事のポイント

なぜ「Heritage Edition」が生まれたのか

今回のコレクションは、メーカーが世界規模で展開する特別仕様車とは性格が異なる。カリフォルニア州ニューポートビーチに拠点を置くディーラーが、ビスポーク部門であるQ by Aston Martinとのコラボレーションによって形にした、いわばディーラー発のビスポーク企画だ。

Aston Martin Newport Beachのゼネラルマネージャーであるジェフ・ウェスト氏は「どのアストンマーティンにも物語があります。Heritage Editionは、一つの黄金期として数えられる時代にアストンマーティンらしさを確立した色を記念しています」とコメント。「往年のカラーリングに敬意を払いながら、アストンマーティンの類まれなる伝統と妥協を許さない未来とをつなぐコレクションを生み出すことができました」と続けた。

Q by Aston Martinはクライアントとの対話を核に、伝統的なクラフトマンシップと現代のエンジニアリングを組み合わせるビスポーク・パーソナライゼーション・サービス。今回の5台はいずれも世界で唯一の個体として製作される。なお、販売は米国カリフォルニア州のAston Martin Newport Beachのみを通じて行われる同店専売で、価格・発売時期ともに公表されていない。日本を含むほかの市場での販売は発表されておらず、国内正規ディーラーで購入できる企画ではない。

サイドシルに装着された Newport Beach Heritage Edition の限定シルプラーク

5台のカラーと歴史的背景

公式発表によれば、5台それぞれに異なる歴史的ボディカラーが割り当てられている。

「ペール・プリムローズ」を纏うのはDB12 Volante。このカラーは1958年のDB4のカタログ表紙を飾り、後にコーギー社のミニカーへも採用された経緯を持つ。ジェームズ・ボンドのDB5ミニカーの配色のインスピレーション源ともいわれる、ブランド史上もっとも認知度の高いカラーの一つだ。

DB12クーペが纏う「パシフィック・ブルー」は、DB4からDB6まで継承された色。プレスリリースによれば、Q by Aston MartinはかつてのDB6のカタログに記載されたオリジナルのカラーサンプルを直接調べ、現代に忠実に再現している。

フラッグシップのVanquishクーペには、1970年代のモデルとゆかりの深い「チューダー・グリーン」をメタリック仕上げで採用。英国チューダー朝時代の荘厳さを想起させると同時に、835PSのV12が生み出す力強いプロポーションを際立たせる配色だ。

Vantageクーペには「ウィンチェスター・ブルー」。英国ハンプシャーの歴史的な大聖堂の街に由来し、1970年代にアストンマーティンが英国各地の地名からインスパイアされて生み出したシリーズの一つ。伝説的なV8 Vantageとの深い関わりも持つ。

そしてVantage Roadsterには「ミンク・シルバー」。1960年代を通じてDB6で人気を博し、当時100台以上のDB6がこの色で仕上げられたという淡いメタリック色だ。

ペール・プリムローズをまとうアストンマーティン DB12 Volante のフロントビュー

現行モデル初採用のインテリア仕様

ボディカラーの復刻に合わせて、Q by Aston Martinが選りすぐったインテリアも見どころのひとつだ。

全5台共通で採用されるのが、ビスポークのパーフォレーション加工フルーテッドシート。公式発表によれば、これは新型Vantageと新型Vanquishでは初となる仕様であり、コレクション専用の特別オーダーといえる。センターアームレストには「Q Heritage」のアストンマーティン・ロゴ刺繍が施され、サイドシルには「Heritage Edition」と記されたシルプラークを装着する。

さらにDB12クーペ、DB12 Volante、Vanquishの3台には、ダークウォルナットのオープンポア・ウッドインレイを採用。往年のグランドツアラーが持つ英国紳士的な室内の雰囲気を、現代のスーパーツアラーの中に丁寧に再現している。

各車のベーススペックに目を向けると、DB12系は4.0リッターV8ツインターボ680PS、Vantage系は同じく4.0リッターV8ツインターボで665PS、そしてVanquishは5.2リッターV12ツインターボで835PS・最高速度344km/h(214mph)という圧倒的なスペックを持つ。Heritage Editionとしての機械的なチューニング変更については公式発表に記載がなく、ビスポーク仕様はカラーリングとインテリアに集中していると考えられる。

ダークウォルナットのウッドインレイとフルーテッドシートを備えた DB12 Volante のインテリア

このコレクションが示すこと

Heritage Editionが興味深いのは、ブランドの「歴史の使い方」にある。多くのメーカーがアニバーサリー限定車を発売する際、新開発の技術や専用チューニングを前面に出しがちだ。しかしこのコレクションが主役に据えたのは、最先端の塗装技術で甦らせた「色」そのものだった。

Q by Aston Martinが旧DB6のカタログに記載されたオリジナルのカラーサンプルを直接調査するなど、色の再現に費やした手間は相当なもの。ブランドの記憶を現代の技術で正確に継承するという姿勢は、単なるノスタルジービジネスとは一線を画している。

また、ディーラー主導のビスポーク企画という形式は、アストンマーティンが特定の市場・顧客層のニーズに細かく応えるための柔軟な体制を持っていることも示している。世界限定5台という希少性は、コレクターにとって大きな意味を持つはずだ。

日本市場への導入は現時点では発表されておらず、購入を検討する場合はAston Martin Newport Beachへの直接コンタクトが必要となる。関心を持つドライバーは、最新情報のチェックを続けてほしい。

チューダー・グリーンのアストンマーティン Vanquish クーペのフロントサイドビュー

Heritage Edition コレクション 全5台の仕様

モデル ボディカラー カラーの由来 エンジン/最高出力
DB12 Volante ペール・プリムローズ 1958年のDB4カタログ表紙を飾った1960年代の代表色 4.0L V8ツインターボ/680PS
DB12 クーペ パシフィック・ブルー DB4で初登場し、DB5・DB6にも設定された1960年代の色 4.0L V8ツインターボ/680PS
Vanquish クーペ チューダー・グリーン(メタリック) 1970年代のモデルとゆかりの深い深緑 5.2L V12ツインターボ/835PS
Vantage ウィンチェスター・ブルー 1970年代、英国の街の名を冠したカラー群の一つ 4.0L V8ツインターボ/665PS
Vantage Roadster ミンク・シルバー 1960年代のDB6で人気を集めた淡いメタリック 4.0L V8ツインターボ/665PS

※ベースはいずれも2027年モデル。全車にQ by Aston Martinのビスポーク・パーフォレーション加工フルーテッドシート、センターアームレストのQ Heritageロゴ刺繍、「Heritage Edition」のシルプラークを装着。DB12クーペ/DB12 Volante/Vanquishにはダークウォルナットのオープンポア・ウッドインレイを採用。Vanquishの最高速度は214mph(約344km/h)。価格・発売時期は非公表で、販売は米国カリフォルニア州のAston Martin Newport Beach専売。日本での販売は発表されていない。

Roadly編集部コメント

個人的に刺さったのは「ペール・プリムローズ」の来歴だ。1958年のDB4カタログ、コーギーのミニカー、そしてジェームズ・ボンドのDB5、と一つの色がポップカルチャーの歴史と交差している事実は、単なるボディカラーの話を超えている。835PSのVanquishにチューダー・グリーンを纏わせるという発想も大胆で、現行モデルの圧倒的なフォルムと英国の歴史的な品格が融合するビジュアルは想像するだけで胸が躍る。クルマそのものの性能を求めるなら通常のVanquishで十分だが、そこに「物語」を乗せたい層には、このビスポーク体験は唯一無二の価値を持つ。

1960〜70年代の伝説カラーを纏った現行スポーツカー5台、米国の一店舗だけで完結するHeritage Editionコレクション。ブランドの歴史と現代の技術が交わる希少な一点ものとして、記憶しておきたい5台だ。

情報源・出典

本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。

※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。スペック・価格・発売時期等は変更される場合があります。

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