2026 アウディ RS5 アバント完全レビュー|PHEVで630馬力の実力と乗り味を検証
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2026 アウディ RS5 アバント完全レビュー|PHEVで630馬力の実力と乗り味を検証

2026.04.08

RS2から始まった30年超の歴史を持つアウディRSアバントシリーズに、ついにプラグインハイブリッドが採用された。新型RS5アバントはV6ツインターボ+電気モーターで最高出力630馬力・最大トルク603lb-ftを誇る一方、車重は約2,370kgという重量級マシンに仕上がっている。「PHEVはこのクルマにとってプラスだったのか、それともC63 AMGのようにマイナスに働いたのか」――その問いに真正面から向き合ったのが、Hagertyチャンネルによるモロッコ試乗レビューだ。アトラス山脈を望む絶景ルートで明らかになった新型RS5の実像を、Roadly編集部の視点も交えながらお伝えしたい。

この動画のみどころ

PHEVは「正解」だったか

新型RS5アバントに与えられたパワートレインは、2.9リッターV6ツインターボ(単体で503馬力)に175馬力の電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド。合算スペックは630馬力・603lb-ftという数字で、旧RS4比でエンジン単体のトルクは同等ながら電気モーター分が上乗せされる形だ。

Hagertyチャンネルでは冒頭から「C63 AMGのようにハイブリッド化が裏目に出るのか、それともベントレー コンチネンタルGTのようにプラスの変革をもたらすのか」という問いを提起している。結論から言えば、動画内でリアタイヤを豪快に消耗させるシーンがその答えをさりげなく示しているように、PHEVという選択はRS5にとって概ねポジティブに機能しているようだ。

ただし、重量2,370kg(約5,225ポンド)というデータは素直に見過ごせない。これはメルセデス AMG E63ワゴンよりも重く、かつてのRS4アバントから比べれば相当な重量増となる。バッテリーを積む以上は避けられない宿命だが、それをドライビングダイナミクスで帳消しにできるかどうかが最大の焦点となる。

動画スクリーンショット

54マイルのEV走行と使い勝手

25.9kWhのバッテリーを搭載し、11kW充電で約2.5時間でフル充電が可能。EV単独航続距離は約54マイル(約87km)とされており、これは「お飾り程度のEV機能」にとどまらない実用的な数字だ。通勤往復や子どもの送り迎えなど、日常使いの大半をEVのみでまかなえる可能性がある。

注目したいのは「ブーストボタン」の使い勝手だ。動画内のドライバーはこれまでのブーストボタンには懐疑的だったとしながらも、RS5については評価を変えている。完全EVモードで走行中にブーストボタンを10秒間押すと、V6とモーターが全開協調するフルパワー状態に切り替わり、クルマのキャラクターが一変するという。追い越し加速や峠のコーナー立ち上がりで「必要なときだけ全力を引き出す」というコンセプトは、ドライバーにとっても非常に理にかなった設計といえる。

また、AudiがF1に復帰したことを背景に、このハイブリッドシステムの思想にはF1由来のエネルギー回生コンセプトとの親和性も感じられる。ブランドとしての技術的なストーリー作りという意味でも、PHEVという選択には一定の説得力がある。

動画スクリーンショット

インテリアの完成度と細部の葛藤

Audi内装の品質の高さは今回も健在で、全体的には「非常に快適な空間」との評価だ。シートはBMW M5コンペティションのような攻撃的なホールド感よりも、長距離ドライブを意識したリラックスした設計となっており、毎日乗るクルマとしての懐の深さを感じさせる。

スクリーンは11.9インチのインストルメントクラスターと14.5インチのインフォテインメントという2画面構成。物理ボタンはドライブセレクトやボリューム、ADAS系のオフスイッチなど「本当によく使うもの」に絞られており、操作性については一定の改善が見られる。ただし、ディスプレイ枠のデザインと実際の画面サイズの間に微妙なズレがあり、「ケースに収まりきっていない時計の機械のよう」という表現が動画では使われており、細部の仕上げへのこだわりという点では惜しさが残る。

ピアノブラックの多用による指紋・埃の目立ちやすさ、一部プラスチックパネルの質感など気になる点もある一方で、内装に施された三次元ダイヤモンド模様のアクセントパネルは「不要だからこそ素晴らしい」と高評価。こういった遊び心のある演出がRSモデルの魅力を底上げしている。

動画スクリーンショット

積載性と実用性のトレードオフ

アバントといえば実用性が大きな美点のひとつだが、PHEVシステムのバッテリー搭載により、ラゲッジルーム容量は361リットル(約12.7立方フィート)と、旧RS4アバントや通常のA5アバントと比べて約4分の3程度にとどまる。リアシートを倒した際も同様の割合で容量が減少する点は、ファミリーユースを主目的とするユーザーにとって検討材料となりうる。

この点を補う選択肢として、RS5にはサルーン(セダン)バージョンも用意されている。B7世代のRS4セダンの人気を踏まえた設定で、外観の完成度もアバントに劣らないとのこと。ドライバー目線では両者に差はなく、荷物の積載よりも走行性能や外観デザインを優先するなら、セダンも有力な候補となる。

Roadly編集部としては、週末ドライブや家族でのアウトドアにクルマをフル活用したいユーザーには、この容量減少は無視できないポイントだと感じる。一方で、通勤×週末スポーツ走行というシナリオであれば、PHEVの恩恵のほうが大きく上回る可能性が高い。

Roadly編集部コメント

Hagertyチャンネルによるモロッコ試乗レビューは、単なるスペック解説にとどまらず、実際の道路環境でのリアルな乗り味や使い勝手を丁寧に伝えてくれる点が秀逸だ。RS5というクルマが抱える「歴史の重さ」と「PHEVという新時代への適応」というテーマを、コンパクトにまとめながらも本質的に突いている。競合目線でいえば、ポルシェ・パナメーラ・スポーツ・ツーリスモやBMW M5ツーリングといった強敵が控えるセグメントで、RS5がどのような差別化を図れるかが今後の焦点となる。車重の重さに目をつぶれるほどの走りの快楽を提供できるなら、「家族との時間も妥協したくない、でも走りも譲れない」という層には最有力候補になり得る一台だと感じる。

新型RS5アバントは、PHEVという変革を概ねポジティブに昇華した意欲作といえる。積載性の減少という課題はあるものの、630馬力とEV54マイルの両立は唯一無二の個性だ。詳しい走行シーンはHagertyチャンネルの動画でぜひ確認してほしい。

動画情報

※本記事は上記の動画を参考に、編集部が独自に構成・執筆しています。

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