2026年10月8日、BMWグループはミュンヘンから「BMW iX3 M60 xDrive」を世界に向けて正式発表した。BMWの次世代モデル群「ノイエクラッセ(Neue Klasse)」の第1弾として登場したフル電動SUV、iX3のラインアップ最上位に加わるMパフォーマンスモデルだ。最高出力450kW(612PS)、0-100km/h加速3.9秒、航続距離は最大754km(WLTP、暫定値)。受注開始は2027年1月末、生産はハンガリーのデブレツェン工場で2027年春に始まる予定。価格は発表されておらず、日本導入の有無と国内価格も現時点では未発表だ。
この記事のポイント
- ノイエクラッセ第1弾のiX3に、最高出力450kW(612PS)のMパフォーマンスモデルが最上位として追加
- 第6世代Gen6 M eDriveと108.7kWhバッテリーにより、WLTPで最大754km・最大400kW急速充電を実現(いずれも暫定値)
- アダプティブMサスペンションとMスポーツ・ディファレンシャルを標準装備。新しい「M Yellow Lights」が外観の目印
ノイエクラッセ×Mパフォーマンスとは何か
BMWが「ノイエクラッセ」と呼ぶ次世代アーキテクチャーは、電動化・デジタル化・持続可能性の三軸を根幹に据えたBMWの未来像そのものだ。iX3はその第1弾モデルとして位置づけられており、今回発表されたM60 xDriveはそのiX3の中でも「これまでで最もパワフルな仕様」とBMW公式が明言する頂点グレードにあたる。
押さえておきたいのは、このクルマが「Mモデル」ではなく「Mパフォーマンスモデル」に分類される点だ。BMWはM60 xDriveを、パワフルな駆動系とスポーツ性能、BMWらしい俊敏なハンドリングを備えたMパフォーマンスモデルと位置づけている。日常で使うSUVとしての実用性はそのままに、走りの性能を一段引き上げた最上位仕様と考えるとわかりやすい。

Gen6 M eDriveが変えるパワーの次元
iX3 M60 xDriveの心臓部となるのが、新開発の第6世代電動駆動システム「Gen6 M eDrive」だ。前後アクスルにそれぞれ1基の電気モーターを搭載するxDrive(4輪駆動)構成で、システム合計出力は450kW(612PS)、最大トルクは875Nmに達する(いずれも暫定値)。
注目すべきはリアアクスルに採用された新型EESM(電気励磁同期モーター)だ。新開発のステーターと、従来の300Aから420Aへと強化されたインバーターにより、ピーク出力と連続出力、ピークトルクと連続トルクをいずれも向上させた。さらにギア比のロング化と最大回転数の引き上げによって最高速度240km/h(暫定値)を実現している。
蓄電池は円筒形セルを採用した新世代の高電圧バッテリーで、使用可能容量は108.7kWhを確保。航続距離はWLTPサイクルで最大754km、電費は複合で17.6〜20.5kWh/100km(いずれもWLTPの暫定値)。DC急速充電は最大400kWに対応し、800VのDC急速充電器なら10分間の充電で最大340km分の航続距離を追加できる(ISO 12906に基づきWLTPサイクルで算出。最大DC出力を供給できる充電器が前提)。AC充電はAC Charging Professionalを標準装備し、最大22kWに対応する。なお、これらの数値はすべて暫定値であり、実際の値は積載量・運転スタイル・温度・充電インフラの状況などによって変動する点は留意が必要だ。

走りを支える統合制御と専用シャシー
高出力のパワートレインを持て余すことなく路面に伝えるために、BMW公式発表によれば複数の先進システムが連携して走行ダイナミクスを統合制御する仕組みが採られている。
その中核が高性能コンピューター「Heart of Joy」と「BMW M Dynamic Performance Control Driving Stack」の組み合わせだ。駆動・ブレーキ・ステアリングの各機能と充電・回生を連携させ、従来システムの10倍の処理速度でミリ秒単位の制御を行う。これにより、ドライバーの意図をより少ない操作入力で再現性高くコーナリングに反映できるとされている。
回生ブレーキについては「Soft Stop」と呼ばれる機能が搭載されており、日常走行のほとんどを回生だけで滑らかに減速・停車する設計だ。BMW公式は「BMW史上最もスムーズな停止」と表現しており、機械式ブレーキが作動するのは緊急時やスポーツ走行時に限られる。M スポーツブレーキ(キャリパーはレッドまたはブルーを選択可)は標準装備となっている。
シャシー面では、電子制御ダンパーを用いたアダプティブMサスペンションと、リアアクスルへの電子制御Mスポーツ・ディファレンシャルを標準装備。可変ギアレシオのスポーツステアリングも組み合わされ、市街地の取り回しから高速コーナリングまで幅広い場面に対応する。フロントのアンチロールバー・リンク追加や補強材パッケージにより、操舵精度と横剛性も強化されている。M Sport・M Sport Plusという2つの専用My Modesをステアリングボタンで瞬時に呼び出せる点も、スポーツドライビングを楽しむドライバーには嬉しいポイントだ。

目を引くエクステリアの新デザイン言語
iX3 M60 xDriveのエクステリアで最も印象的なのが、新たに採用された黄色のライト「M Yellow Lights」だ。ルーツはモータースポーツにあり、BMWはBMW M Hybrid V8などのレーシングカーをデザインの着想源に挙げている。点灯はロービームとの組み合わせに限られる(市場によって異なる)。キドニーグリルの左右には、Mストライプから着想した3つの要素で構成するライトエレメントも配置され、Mロゴもライトシグネチャーの一部として組み込まれた。
フロント以外にも各所にMらしさが散りばめられている。空力最適化されたMミラーキャップ(黒地にMカラーのストライプ)、新しいMデザインの「M60」バッジ(黒文字・シルバー縁取り)、そしてエアロブレード2枚を持つM専用ルーフエッジスポイラーはリアのダウンフォース増加にも寄与する。BMW Iconic Glowエクステリアパッケージにより、キドニー輪郭照明やWelcome&Goodbyeアニメーションも標準装備となる。
ボディサイズは全長4,782mm・全幅1,895mm・全高1,635mm・ホイールベース2,897mm。長いホイールベースと短いオーバーハング、張り出したホイールアーチが力強さを強調する。発売時から25色の「スペシャルリクエスト」塗装を含む幅広いカラー選択肢が用意され、今後さらに拡大される予定だという。

先進インテリアとドライバー体験
コックピットはBMW Panoramic iDriveを中核に、BMW Operating System Xを搭載する。ドライバー側に傾斜した17.9インチのCentral Display、標準装備のBMW Panoramic Vision、オプションのBMW 3D Head-Up Displayと、視覚情報の層が豊かだ。
Mスポーツステアリングには12時位置にM60 xDrive専用の赤いマーカーが入り、Boost ModeとM Modeの専用ボタンを装備。シャイテック操作系との組み合わせにより、スポーツ走行への切り替えをスムーズに行える。M専用のディスプレイ表示やPowermeter(現在の出力・残余力・回生量を表示)も、走りに集中したいドライバーには有用な情報源になるだろう。
標準シートはMスポーツシートで、10ウェイ電動調整・マッサージ機能・発光するMロゴ入りヘッドレストを備える。シートベルトもM専用品が採用されている。内装のデザインは3パターン、張り地は計7種が用意され、標準はブラックのVeganza+M PerformTexの組み合わせ。オプションとして、座面にメリノレザーを組み合わせるBMW Individualのインテリアも選べる。
エンターテインメント面ではHarman Kardon製ハイファイシステム(13スピーカー・430W・Dolby Atmos対応)を標準装備。さらにオプションのBMW Digital Premiumを追加すると、M専用インカーアプリ「M Cockpit」や加速データを記録する「M Drag Meter」を利用できる。
運転支援はSAEレベル2の各種機能を装備し、Motorway Assistantにより高速道路では最大130km/hまでのハンズオフ走行も可能だ。

発売スケジュールと日本市場の現状
BMW公式の発表によれば、iX3 M60 xDriveの受注開始は2027年1月末、生産開始はハンガリーのBMWグループ・デブレツェン工場にて2027年春を予定している。価格については欧州分も含め現時点では一切公表されておらず、日本への導入可否・時期・国内仕様・国内価格もすべて未発表の状態だ。
ノイエクラッセはiX3を第1弾に、Roadlyでも既報の新型3シリーズ(i3)や、第3弾のiX4へと広がっている。日本仕様や国内価格、導入時期については、BMW Japanからの正式発表を待ちたい。

BMW iX3 M60 xDrive 主要諸元(欧州発表値)
| 項目 | BMW iX3 M60 xDrive |
|---|---|
| 駆動方式 | 前後に電気モーター各1基(xDrive/4輪駆動) |
| 最高出力 | 450kW(612PS) |
| 最大トルク | 875Nm |
| 0-100km/h加速 | 3.9秒 |
| 最高速度 | 240km/h |
| バッテリー容量(使用可能) | 108.7kWh |
| 航続距離(WLTP) | 最大754km |
| 電費(WLTP複合) | 20.5〜17.6kWh/100km |
| DC急速充電 | 最大400kW(800V充電器で10分間に最大340km分) |
| AC充電 | 最大22kW(AC Charging Professional標準) |
| 全長×全幅×全高 | 4,782×1,895×1,635mm |
| ホイールベース | 2,897mm |
| ホイール | 21インチ Mライトアロイ(標準)/最大22インチ(オプション) |
| 受注開始 | 2027年1月末 |
| 生産開始 | 2027年春(ハンガリー・デブレツェン工場) |
| 価格 | 未発表 |
※BMW グループ公式プレスリリース(2026年10月8日発表、グローバル)に基づく。数値はすべて暫定値。航続距離・電費はWLTPの暫定値で、実際の値は積載・運転スタイル・天候・空調・タイヤ・バッテリー状態などで変わる。10分間の充電による航続追加はISO 12906に基づきWLTPサイクルで算出し、最大DC出力を供給できる充電器が前提。価格は未発表。日本導入の有無・時期、国内価格も未発表。
Roadly編集部コメント
450kW(612PS)・875Nm・0-100km/h 3.9秒という数値だけを並べると「サーキット向けの別世界の話」に聞こえるかもしれないが、iX3 M60 xDriveの真の魅力はその使い勝手の幅広さにある。WLTPで最大754kmの航続距離(暫定値)と最大400kWの急速充電能力は、ロングドライブ派のオーナーが長距離移動をストレスなく計画できる実力を示している。日常の減速をほぼ回生だけでこなすSoft Stopも、普段使いの快適さにつながる要素として注目したい。日本市場でどのような仕様と価格で登場するかが、今後の最大の関心事だ。
ノイエクラッセ第1弾のiX3に、最上位のM60 xDriveが加わった。欧州などでの受注開始は2027年1月末。日本導入の有無や国内仕様・価格など、続報が出しだいRoadlyでも取り上げる。
情報源・出典
- 情報源:BMW 公式(欧州)
- プレスリリースタイトル:The new BMW iX3 M60 xDrive: dynamically outstanding M Performance model added to the line-up for the fully electric SUV.
- プレスリリースURL:https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0461463EN/the-new-bmw-ix3-m60-xdrive?language=en
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
※本記事は情報提供を目的とした解説であり、商品・サービスの購入や投資判断を推奨するものではありません。スペック・価格・発売時期等は変更される場合があります。