2026年8月27日、日産自動車はフェアレディZおよびフェアレディZ NISMOのマイナーチェンジを発表し、同日より販売をスタートした。今回のアップデートは単なる見た目の刷新にとどまらない。初代S30型から続くヘリテージへの敬意を随所に盛り込みながら、走りの質を実質的に底上げする変更が加えられている。特にZファンが長年望んでいたNISMOへの6MT設定と、歴代モデルのフロントを飾っていたZエンブレムの復活は、今回の目玉といえる。価格は標準モデルの6MT仕様が573万7,600円から、NISMO仕様は975万2,600円からとなる。
この記事のポイント
- S30型からZ32型に採用されていたフロントZエンブレムが復活(NISMOと共通装備)
- フェアレディZ NISMOにショートストローク6MTが新たにラインアップ追加
- 大径モノチューブショックアブソーバー採用で乗り心地と高速安定性を向上
フロントZエンブレムが復活
今回のマイナーチェンジでもっとも視覚的に訴えかけるのが、フロントフェイスへのZエンブレム復活だろう。日産の公式発表によれば、このエンブレムはS30型(1969年)からZ32型(1989年)まで歴代フロントに採用されていたもの。現行のRZ34型で、このエンブレムが再びフロントフェイスに戻ってくる。
あわせてフロントバンパーも新造形へと刷新された。ノーズ先端の延長によってロングノーズ・ショートデッキのシルエットをより強調しつつ、低くワイドなスタンスを実現している。ロアバンパーからサイドへと流れるラインの変更により、ダクトとソナーの配置が最適化され、フロントリフトと空気抵抗の低減を両立させたという点も見逃せない。
ホイールにはZ31型のエアロディッシュデザインをオマージュした幾何学パターンの切削加工を採用。アルミ鍛造によって軽量化と高剛性を両立させており、デザインと機能が一体となった仕上がりだ。
インテリアでは、S30型をイメージしたタンの内装色が新たにグレード別設定として加わる。また12.3インチ液晶メーターには歴代Zのシルエットが流れるオープニングムービーが採用され、乗り込む瞬間から高揚感を演出する。

新色「雲龍グリーン」の登場と塗装ラインアップ
ボディカラーでも見どころがある。今回新たに設定された「雲龍グリーン/スーパーブラック(2トーン)」は、S30型のイメージカラーとして名高い「グランプリグリーン」から着想を得た新色だ。歴史的な名色を現代の感覚でアレンジしたこのカラーは、旧来のZファンにも新規ユーザーにも響く選択肢となりそうだ。
全体のカラーラインアップは2トーン5種類、モノトーン5種類の計10種類。フェアレディZ NISMOについてはNISMO専用色の「NISMOステルスグレー/スーパーブラック」2トーンを含む5種類が用意されており、NISMOはこの特別塗装色の選択が必須となっている(特別塗装色代49,500円〜が車両本体価格に合算)。

足回り刷新で走りの質が向上
エクステリアの話題が先行しがちだが、走行性能面の変更も実質的だ。グレード別設定となるが、大径モノチューブショックアブソーバーの採用によってダンパー受圧面積を従来比26.6%拡大。路面入力に対する車体姿勢の変化を効果的に抑制し、高速巡行時でもしなやかな乗り心地を実現したと日産は説明している。
サーキットや山岳路でのワインディングだけでなく、長距離ドライブでの疲労軽減にも寄与する変更であり、日常域での乗り心地を重視するドライバーにとっても無視できない改良点だ。
また標準モデルとNISMOに共通する変更として、燃料タンク内にチャンバーが追加された。高横Gが発生するコーナリング時でも燃料供給を安定させる設計で、サーキット走行を想定したユーザーには実用的なアップデートといえる。さらに対自転車の制動要件に適合した衝突被害軽減ブレーキも搭載され、安全装備の充実も図られている。

NISMO最大のトピックは6MT追加
フェアレディZ NISMOにおいて今回最大の変更点となるのが、ショートストローク6MTのラインアップ追加だ。これはユーザーからの要望が多かった仕様で、日産公式がその声に応えた格好となる。
採用されたシフトは手首で操作するような素早いシフトレスポンスを追求した設計で、6MT専用にスロットルと点火タイミングのエンジン制御も最適化されている。アクセルを踏んだ瞬間からリニアに反応し、高回転域まで伸びやかな加速フィールを追求したという点は、マニュアル派のドライバーにとって歓迎すべき仕様だ。
走行モードはSTANDARDとSPORTの2種類。STANDARDは市街地やロングドライブ向けに加速時のエンジン音量を抑えつつ中回転以降の伸びを活かした特性とし、SPORTでは高回転域でのリニアなレスポンスと高揚感のあるエンジンサウンドを前面に出す設定となっている。加速サウンドにも専用チューニングが施されており、音でも走りを楽しませる設計思想が感じられる。
VDC(ビークルダイナミクスコントロール)にはNISMO専用の「TRACTION」モードも追加。アクセルとステアリングへの応答性を高め、ドライバーの操作意図に忠実な車両挙動を実現している。

NISMOのシャシーとブレーキも進化
NISMOのシャシー面では、フロントブレーキに「NISSAN GT-R」で採用実績のある2ピースドリルドローターが移植された。優れた放熱性によってブレーキ性能を向上させるとともに、バネ下重量の軽量化にも貢献する部品だ。ブレーキキャリパーはブライトレッドの新色を採用しており、視覚的なアクセントにもなっている。
サスペンションはこの軽量化に合わせた専用セッティングが施され、路面追従性と回頭性の向上が図られた。ステアリングには低フリクションラックを採用し、よりスムースな操舵感と正確なラインどりを可能にしている。
標準モデルとNISMOの共通装備として、最新のQi2規格に対応したワイヤレス充電器も追加されている。内蔵マグネットにより走行時の振動でもスマートフォンがずれず、冷却ファンによって充電時の発熱も抑制されるという実用性の高い装備だ。

価格と主なグレード構成
今回のマイナーチェンジモデルの価格帯を整理しておこう。エンジンは価格表のとおり全グレードがVR30DDTT型、駆動方式は2WDとなる。
| トランスミッション | グレード | 価格(円) |
|---|---|---|
| 6MT 2WD/VR30DDTT |
フェアレディZ | 5,737,600 |
| フェアレディZ Version S | 6,586,800 | |
| フェアレディZ Version ST | 6,999,300 | |
| フェアレディZ NISMO ※ | 9,752,600 | |
| 9M-ATx(9速AT) 2WD/VR30DDTT |
フェアレディZ | 5,737,600 |
| フェアレディZ Version T | 6,199,600 | |
| フェアレディZ Version ST | 6,999,300 | |
| フェアレディZ NISMO ※ | 9,752,600 |
※フェアレディZ NISMOは特別塗装色の選択が必須のため、特別塗装色代49,500円~が車両本体価格に合算される。価格は全国希望小売価格(消費税込み)で、2026年8月27日の発表時点のもの。
NISMOは6MT、9M-ATxのいずれも同じ9,752,600円という設定で、トランスミッションの違いによる価格差はない。標準モデル側は、6MTがVersion S、9M-ATxがVersion Tと、中間グレードの設定が分かれている点も押さえておきたい。

Roadly編集部コメント
今回のマイナーチェンジを改めて俯瞰すると、日産がZシリーズの「ヘリテージ」というキーワードを単なるデザインの文脈だけでなく、走行性能や装備の細部にまで一貫させようとしている意図が伝わってくる。Zエンブレムの復活やタンインテリアの設定は旧来のファンへの敬意であり、NISMOへの6MT追加と2ピースドリルドローターの採用はサーキット志向のドライバーへの明確な回答だ。大径モノチューブショックアブソーバーの採用によって日常域の乗り心地も改善されており、ツーリングを楽しみたい層にも刺さる変更点が含まれている。「走りの道具として本気で使いたい」と考えているZオーナー候補や、現行モデルからの乗り換えを検討しているユーザーにとって、今回のアップデートは検討の価値が十分にある内容だ。
2026年モデルのフェアレディZは、ヘリテージへの回帰と走行性能の実質的な向上を両立した意欲作に仕上がった。実車の詳細や走りの評価については、続報が入り次第お伝えしたい。
情報源・出典
- 情報源:Nissan 公式(日本)
- プレスリリースタイトル:「フェアレディZ」、「フェアレディZ NISMO」をマイナーチェンジ
- プレスリリースURL:https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/260827-01-j
本記事は上記のメーカー公式プレスリリースを情報源として、Roadly編集部が事実情報を再構成・独自視点で執筆した解説記事です。プレスリリースの文章・構成・画像を複製したものではありません。詳細は上記リンクよりご確認ください。
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