妙義、榛名、赤城。群馬を代表する三つの山は、それぞれ性格の異なるワインディングを抱え、走り屋文化の聖地として、そして漫画『頭文字D』の舞台としても全国に知られている。鋭い奇岩を縫う妙義、火山湖と石段街を繋ぐ榛名、標高差1,000mを駆け上がる赤城。三山三様の峠を一度に味わいたい、そんな贅沢な願いを叶える、群馬1泊2日のドライブ旅を提案したい。
三大ロードと呼ばれる理由
群馬は、関東でも屈指の山岳県だ。北に谷川連峰がそびえ、平野へ向かってなだらかに開けていく地形のなかに、独立峰として並び立つのが妙義・榛名・赤城の三山。いずれも火山由来でありながら、それぞれ全く違う地質を持っている。
妙義は、石英安山岩の浸食が生んだ鋭く荒々しい奇岩群。榛名は、整った成層火山の頂にカルデラ湖を抱える優美な姿。赤城は、複式火山が広大な裾野を形作る豪快なスケール。地質の違いがそのまま峠の表情に現れているのが、群馬という県のおもしろさだ。短く鋭い妙義、ヘアピンが連続する榛名、長く駆け上がる赤城。タイプの違う三本を繋いで走るからこそ、見えてくる群馬の奥行きがある。
Day 1:妙義から榛名へ、伊香保で湯に浸かる
旅のスタートは、群馬の西の玄関口、上信越自動車道の松井田妙義IC。降りた瞬間から右手に妙義山の異形の稜線が迫り、これからの一日の幕開けにふさわしい緊張感が漂う。
午前:妙義山ワインディング

道の駅みょうぎを起点に、県道196号で妙義山を縫う約23kmのルート。鋭く天を突く奇岩が左右に迫り、走るほどに異世界へ吸い込まれていく感覚がある。中之嶽神社の大黒天、妙義山さくらの里、全景撮影の定番ビュー・妙義山第一駐車場と、立ち寄りどころも要所に揃う。終点の道の駅しもにたで下仁田ねぎを手に取り、地元の蕎麦で昼を済ませる流れがちょうどいい。
▶ 詳細ルート:妙義山の奇岩を縫うワインディング〜下仁田へ続く山岳ドライブ
午後:榛名山ロマンチック街道

下仁田から国道254号を北上し、高崎市街を抜けて榛名山へ。県道33号「榛名山ロマンチック街道」へ入れば、連続するヘアピンが標高をぐいぐいと押し上げていく。途中、榛名神社で旅の安全を祈り、湖畔展望台から榛名富士を望む。標高1,084mの榛名湖に到着するころには、午後の光がやわらかく湖面を撫でているはずだ。
▶ 詳細ルート:榛名山・伊香保温泉ドライブ|火山湖と石段街を繋ぐ群馬の名峠道
夜:伊香保温泉に泊まる

榛名湖からそのまま伊香保へ下れば、本日の宿。365段の石段街と、赤茶色の「黄金の湯」が出迎える群馬を代表する温泉地だ。湯に浸かり、上州の山菜料理や上州牛を味わいながら、明日の赤城に向けて体を休める一夜となる。
Day 2:赤城を駆け上がり、平野へ下る
二日目は朝霧の残る伊香保を発ち、渋川経由で前橋方面へ。約1時間で、赤城山の南面、県道4号「赤城道路」の入口に着く。
午前〜昼:赤城山ワインディング

赤城道路は、標高差約1,000mを約20kmで駆け上がる豪快な登坂路。三山のなかでも、最も「走らせる」キャラクターを持つロードと言っていい。山頂部には大沼、湖畔の赤城神社、湿原の覚満淵、そして静謐な小沼。複数の絶景がコンパクトにまとまり、車を停めて歩く時間も自然と長くなる。下りは南面の裾野を駆け抜け、ぐんまフラワーパークで旅の余韻をゆっくりと冷ます。
▶ 詳細ルート:赤城山一周ドライブ|小沼・大沼を巡る群馬絶景ワインディング
夕方:前橋ICから関越道で帰路へ

ぐんまフラワーパークから前橋IC経由で関越道へ乗れば、二日間の旅は終わる。後部座席には下仁田ねぎ、頭のなかには三本の峠の景色、そんな帰路がふさわしい。
▶ 施設詳細:ぐんまフラワーパーク プラス
三山三様、その性格を並べてみる
走り終えてから、あらためて三山の表情を並べてみる。
妙義は、約23km・40分の最短ルート。奇岩の絶壁が間近に迫る異世界感が他にはなく、距離以上に密度の濃い走りを残してくれる。
榛名は、約37km・1時間5分。連続ヘアピンを抜けた先に温泉街・神社・カルデラ湖が広がり、走りと観光のバランスが絶妙な王道ルートだ。
赤城は、約49km・1時間25分。三本のなかで最も走り応えがあり、標高差1,000mを駆け上がるスケール感は群馬随一と言っていい。
それぞれが違うからこそ、繋げて走ったとき、群馬という県の輪郭が立体的に立ち上がってくる。一日で全部回ろうとすると忙しないが、1泊2日かければ温泉も食事も含めて、土地そのものをじっくり味わえる。
おわりに
群馬には、走るためにある山がある。三本のワインディングを繋いで走ると、そう言いたくなる気持ちが自然と湧いてくる。妙義の奇岩、榛名の湖と湯、赤城の登坂。次の週末、ハンドルを握って群馬へ向かうとき、その入口はひとつではない。好きな順番で、自分の物語として三大ロードを繋いでみてほしい。


